怖々おづ/\)” の例文
忠一といふ、今度尋常科の三年に進んだ校長の長男が、用もないのに怖々おづ/\しながら入つて來て、甘える樣な姿態しなをして健の卓に倚掛つた。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
加世は道に崩折れて、涙におぼれるやうに泣き濡れて居りました。波打つ老女の背中を、八五郎の朴訥ぼくとつな平手が怖々おづ/\擦つて居るのもあはれです。
町奉行所へ送りたり時に享保二年九月廿一日大岡越前守殿町奉行始めての白洲しらすなれば別て與力よりき同心どうしんの役々威儀ゐぎ嚴重げんぢうに控へし所へ九助は怖々おづ/\罷出るに越前守殿之を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
燥々いら/\しながら立つて毛布ケツトをはたいた、煙草シガアの灰が蛇の抜殻のくづるる様にちる、私は熱湯の中に怖々おづ/\身体からだを沈める時に感ずる異様な悪感に顫へながら強ひて落着いた風をしてぢつと坐つて見た。
新橋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
『ハ?』と、安藤は目を怖々おづ/\さして東川を見た。意氣地なしの、能力の無い其顏には、あり/\と當惑の色が現れてゐる。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
善は急げと、其日すぐお由の家に移轉うつつた。重兵衞の後にいて怖々おづ/\と入つて來る松太郎を見ると、生柴を大爐に折燻べてフウ/\吹いてゐたお由は、突然
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
悲し氣な眼で對手を見ながら、顫ひを帶びて怖々おづ/\した聲で。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)