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彼曲者
入れ殺生する
曲者ありとの
訴へに付私し
出役仕つり引き捕へ
吟味仕り候處に
彼曲者は紀伊家の徳太郎
信房卿の御名前を
盜み取んと
彼曲者は半四郎が寢たる
夜着の
脇より
徐々と腹の
邊へ手を
差入ければ後藤は目を
覺しはて
奴つめが來りしぞと
狸寢入をして
密かに
傍の夜具を
二人前半四郎の方へ
据ければ後藤は
柱へ
縛り
付置たる盜人の
繩を
解コレ汝爰へ來て
酌をせよと
茶碗を出しければ
彼曲者はヘイ/\と云ながら
怖々酒を
酌に後藤は
大安坐をかいて酒を