引攫ひきさら)” の例文
縁あればこそ力にもなりなられてたがい嬉敷うれしく心底打明け荷物の多きさえいとう旅路の空に婚礼までして女房に持とうという間際になりて突然だしぬけ引攫ひきさらい人の恋を
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼は惘然ぼうぜんとして殆ど我を失へるに、電光の如く隣より伸来のびきたれる猿臂えんぴは鼻のさきなる一枚の骨牌かるた引攫ひきさらへば
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
驚破すわ、そのまぎれに、見物の群集ぐんじゅの中から、頃合ころあいなものを引攫ひきさらつて、空からストンと、怪我けがをせぬやうにおといた。が、丁度ちょうど西の丸の太鼓櫓たいこやぐらの下の空地だ、真昼間まっぴるま
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そつくび引拔ひきぬき、其國そのくに珍寳たかららむかぎ引攫ひきさらうてかへるべし
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)