幽暗いうあん)” の例文
母が雨戸を二三枚引いたので、そこには昼乍らうすら寒い幽暗いうあんがあつた。暗い襖、すゝびた柱、くすんだ壁、それらの境界もはつきりしない処に、何だかぼんやりした大きな者が、眼を瞑つて待つてゐる。
父の死 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)