“幽暗”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くらき20.0%
ほのぐら20.0%
いうあん10.0%
うすぐら10.0%
うすやみ10.0%
くらやみ10.0%
ほのくら10.0%
ゆうあん10.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかしながら国に幽暗くらきのぞみしときに精神の光が必要になるのであります。国のおこるとほろぶるとはこのときに定まるのであります。どんな国にもときには暗黒が臨みます。
障子の日が、もう蔭ってしまって、部屋には夕気ゆうけづいたような幽暗ほのぐらい影が漂うていた。風も静まったと見えて、外はひっそとしていた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
母が雨戸を二三枚引いたので、そこには昼乍らうすら寒い幽暗いうあんがあつた。暗い襖、すゝびた柱、くすんだ壁、それらの境界もはつきりしない処に、何だかぼんやりした大きな者が、眼を瞑つて待つてゐる。
父の死 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
蚊帳ごしにれくる幽暗うすぐらい豆ランプの灯影ほかげに映るその顔を、そっと知らぬ風をして細眼に眺めると、すごいほどあおざめた顔に色気もなくつかねた束髪の頭髪あたまがぼうぼうといかかっていた。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
その頃はもう日没が迫っていて、壮大な結構は幽暗うすやみの中に没し去り、わずかに円華窓から入って来る微かな光のみが、冷たい空気の中で陰々とゆらめいていた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それからのちの私たち二人は、肉体からだ霊魂たましいも、ホントウの幽暗くらやみい出されて、夜となく、昼となく哀哭かなしみ、切歯はがみしなければならなくなりました。
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……幽暗ほのくら路次ろじ黄昏たそがれいろは、いま其処そことほごとに、我等われら最初さいしよ握手あくしゆの、如何いか幸福かうふくなりしかをかた申候まをしそろ貴女きぢよわすたまはざるべし、其時そのとき我等われら秘密ひみつてらせるたゞ一つの軒燈けんとうひかりを……
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
怪談を話す時には、いつもランプのしんを暗くし、幽暗ゆうあんな怪談気分にした部屋へやの中で、夫人の前に端坐たんざして耳をすました。