年増盛としまざかり)” の例文
兼太郎は番台越しに女湯で着物をぬぎかける女の中に、小作りのぽっちゃりした年増盛としまざかりのお妾らしいものを見ると、以前代地河岸だいちがしに囲って置いた自分のお妾の事を思い出すのである。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
年増盛としまざかりを過ぎて一度商売をめた女、また二度出るは気の毒なものと察してやるが訳知つた人のなさけなり。男の顔に泥塗るやうな事さへせぬかぎり大抵のことは大目に見てやるがよし。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)