常夜とこよ)” の例文
常夜とこよ長鳴鳥ながなきどりといふものの聲が闇の空を破つて遠くにも近くにも起つたが、そこいらはまだ暗かつた。そこへ今度は逞しい『力』の神が來た。
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
窓のない常夜とこよの部屋、眩暈めまいの様にゆれる部屋、その上に、今は又、隙間もないのに、絶えずどこからか見張られていることが分った。凡てが普通でない。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
かれここに天照らす大御神かしこみて、天の石屋戸いはやどを開きてさしこもりましき。ここに高天たかまの原皆暗く、葦原あしはらの中つ國悉に闇し。これに因りて、常夜とこよ往く
「神代巻」や『古事記』に、天照大神あまてらすおおみかみ岩戸籠いわとごもりの時、八百万やおよろずの神、常世とこよ長鳴鳥ながなきどりあつめ互いに長鳴せしめたと見ゆ。本居宣長曰く、常世の長鳴鳥とは鶏をいう。常世は常夜とこよで常世とは別なり。
常夜とこよの世界に生命ありて
光よあれ (新字新仮名) / 今野大力(著)