巨杉おおすぎ)” の例文
姿はやっぱり見えないけれども、それは焚火の燃え残っている四丈八尺の巨杉おおすぎの幹の中程から起ったことはたしかであります。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その巨杉おおすぎの横枝へ、馬上の謙信のすがたは支えられたかと思われたが、屈身、一躍すると、もう混雑の人々の中へ放生月毛の脚は踏みこんでいた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巨杉おおすぎの梢から金色のしずくが、甚助の背へぽとぽと落ちた。美しい毛艶の神鴉しんあが、ふた声ほど、高くいた。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
周囲四丈八尺ある門前の巨杉おおすぎの下には、お祭りの名残りの塵芥じんかいや落葉がうずたかく掻き集められて、誰が火をつけたか、火焔ほのおは揚らずに、浅黄色した煙のみが濛々もうもうとして
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)