山住居やまずまい)” の例文
山住居やまずまいして、一時行いすましていた神尾主膳は、ここで、境遇の変ると共に、また心持までも逆転したのは浅ましいことです。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そして、昼は馬方になって宿からこの大妻籠を帳場として稼ぎ、夜は、里から買って来た食べ物などをもたらして新九郎と一緒に山住居やまずまいをして来たのである。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜ山住居やまずまいをせらるる、と聞く間もなしに慰めたんです。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だから百姓弥之助の建物のある地盤から見ると「ここは高原の感じがする、山を下に見る」といって山住居やまずまいをしていた或る学者が来て、不思議そうに眺めたことがある。
まして、菩提山ぼだいさんの城にいては深窓の姫として育てられ、自分と山住居やまずまいしてからは、世間の表裏も知らない深山みやま処女おとめである。こんな話でさえすぐ涙をうかべる妹である。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「奈良から追われた牢人だよ。この先へ行くと、山住居やまずまいしてたくさんいるぜ」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何の。多寡たかの知れた山住居やまずまい牢人ろうにん一名が、御奉公に参るのに、迎えなどは」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おかしいのだよ、兵庫様。山住居やまずまいしていた牢人どもは、きのう悪戯わるさ
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)