定九郎さだくろう)” の例文
……与一兵衛じゃあるめえし、てめえ定九郎さだくろうのように呼ぶなえ、と唇を捻曲ねじまげて、叔父さんとも言わせねえ、兄さんと呼べ、との御意だね。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
由良之助ゆらのすけが春のや(逍遥)で、若狭之助わかさのすけが鴎外で、かおよ御前ごぜんが柳浪、勘平かんぺいが紅葉で、美妙はおかるよ。力弥りきやさざなみ山人なの。定九郎さだくろうが正太夫なのは好いわね。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ヨシツネさんは定九郎さだくろうみたいな感じ、与市兵衛よいちべえを殺しそうな凄味のある顔をしている。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
勘平かんぺいらしき男も見えず、ただ隣りの男の眼付やゝ定九郎さだくろうらしきばかりなり。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
と茶番の定九郎さだくろうめやあがる。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)