婉転えんてん)” の例文
旧字:婉轉
古アテネで娼妓を牝鶏と綽名あだなした。これは婉転えんてん反側して男客をつの状にかたどり、またカワセミと称えたは路傍に待ちいて客人を捉うるの手速きに拠ったのだ。
柱にもたれている女中は婉転えんてんたる京都弁で何とか言っては笑った。居士も笑った。余はぼんやりとその光景を見ていた。たしかこの日であったと思う。二人が連立って嵐山の紅葉を見に行ったのは。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)