変怪へんげ)” の例文
「スーッと一筋、怪しの煙が立ち昇ったかと見るまに、空中に、変怪へんげの形をとって、うらめしや伊賀ざむらい……ナンテことになるんじゃないかな」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いわく、この犯人は喰屍鬼ゴウルか吸血鳥か、とにかく、人間の眼を触れずに自在に往来する、他界の変怪へんげであろうと。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
君なぞはせんだっては刑事巡査を神のごとくうやまい、また今日は探偵をスリ泥棒に比し、まるで矛盾の変怪へんげだが、僕などは終始一貫父母未生ふもみしょう以前いぜんからただ今に至るまで、かつて自説を変じた事のない男だ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)