塗籠ぬりこ)” の例文
その玉章たまずさの中には、恐ろしい毒薬が塗籠ぬりこんででもあったように、真蒼まっさおになって、白襟にあわれ口紅の色も薄れて、おとがい深く差入れた、おもかげきっと視て
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
萬兩分限ぶげんと言はれる大分限のくせに、塗籠ぬりこめ一つ作らず、『佐渡の土は燒けないから』と漏らしたといふ、主人徳右衞門の不敵さは、町内の噂になつて居ります。
ひそかに彼女の母親を殺して、地下室の壁の中に塗籠ぬりこめたもので、次いでその遺産の相続者たる彼女を不法檻禁して発狂せしめ、法律上の相続不能者たらしめようとしていた確証が発見され
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
陣屋は塗籠ぬりこめ、小路を割り、人数繁きこと、稲麻竹葦ちくいの如し
小田原陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)