おち)” の例文
旧字:
もしはかないものでないならば、たとい人はどんな境遇におちるとも自分が今感ずるような深い深い悲哀かなしみは感じないはずだ。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
男子の保護を大事と機嫌気褄をとつてゐる女たちからは仇敵のやうに云はれ、乱脈におちてしまつたのであります。
男性に対する主張と要求 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
こういう事が自然に実行せられているために、歌調が、後世の歌のような常識的平俗におちることが無いのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
僧「わしも可愛そうじゃアと思うた、斯ういう仏は血盆地獄けっぽんじごくおちるじゃ、早く云えば血の池地獄へ落るんじゃ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
越中立山えっちゅうたてやま、無限地獄におちるぞよ。」
この歌は、志貴皇子の他の御歌同様、歌調が明朗・直線的であって、然かも平板へいばんおちることなく、細かい顫動せんどうを伴いつつ荘重なる一首となっているのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
仲間の者が「亥太郎何程なにほど強くっても此の門跡の家根から転がりおちることは出来めえ」と云うと「出来なくって」と云っての家根からコロ/\/\と堕ちたから
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
人間が死んで地獄ぢごくくとか、ぜんしたるもの極楽ごくらく昇天しようてんするとか、宗教しうけうはうでは天国てんごくく、悪国あくこくおちるとふ、何方どちらが本当だか円朝ゑんてうにはわかりませんが、地獄ぢごくからどうせ郵便のとゞいたためしもなし
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ガンコウ地におちんとほつする時そもさんかいづれのところたつせん。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)