地廻じまわ)” の例文
「浄閑寺の投込みは、くるわの女郎衆で、引取ひきとにんのない者だけを埋葬する所。地廻じまわりの無縁仏むえんぼとけまで、ひきうけてくれるでしょうか」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頭脳あたまの中をこんな事にこしらへて、一軒ごとの格子に烟草たばこの無理どり鼻紙の無心、打ちつ打たれつこれを一ほまれと心得れば、堅気の家の相続息子地廻じまわりと改名して
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
地廻じまわりの連中がこんなことを言いはやすものですから、お玉もいくらか気味が悪い、それでムクのいないことが、いよいよ物淋しくなって、足の運びは駈けるようになって行きますと
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
妻君「そうでございますかね、牛は全体どういうのが美味おいしゅうございましょう」お登和嬢「場所で申せば神戸牛といって中国筋の者が良いので上総かずさ房州ぼうしゅうから出る地廻じまわりは味が悪うございます。 ...
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
殊に色街の掃溜はきだめには、怠け者の地廻じまわりとかなんとかいって、そういう野郎がいかねない。……だがまア、よくお前たちは辛抱してるなあ、今におやじも眼をさますだろう。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)