囃方はやしかた)” の例文
囃方はやしかたの喜助、それに女が二三人、朝といつても、かなり陽が高くなつてゐるのに、思ひ切つて自墜落じだらくな風を、ズラリと裏木戸に並べたものです。
又は米国に行っている教授の世話で、在留邦人が年中行事として能を催す際に、米人のマダムや令嬢が囃方はやしかたを受け持つ事にきめている向きがあるという。
能とは何か (新字新仮名) / 夢野久作(著)
三味しやみは幾挺かおもしろいを合せて、障子に響いてびるやうに聞える。急に勇しい太鼓も入つた。時々唄に交つて叫ぶやうに聞えるは、囃方はやしかたの娘の声であらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
第二に楽器の関係についても能にも芝居にも囃方はやしかたといふ者がある。その楽器は両者の間に著しい差違があるが、しかし能に用ゐらるる笛、つづみ、太鼓は芝居にも用ゐられて居る。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
続いて囃方はやしかた惣踊そうおどり。フト合方が、がらりと替って、楽屋で三味線さみせんを入れた。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
舞台の右手には黒塗の格子があって、その内に囃方はやしかたがいる。
囃方はやしかたがおもしろくはやしたてる。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
白象はくざうに乘つた、等身大の菩薩像は、見世物小屋の表の方、囃方はやしかたの陣取つた中二階の下あたりに据ゑてあります。
江戸で臨時に雇い入れた囃方はやしかたと、木戸番の百松だけ、これも相模生れのお松と同郷で、お松には充分気があるようですが、至って無口な上、自分の顔の醜いことを百も承知をしておりますから
囃方はやしかたの喜久治夫婦を誘つて、お若さんと四人連れで又出かけましたが、お百合さんは氣分が惡いからと言つて後に殘り、親方の酒の相手をさせられた相ですが、暗くなつてから町内の丁子湯ちやうじゆへ入り
江戸で臨時に雇入れた囃方はやしかたと、木戸番の兎口みつくちの百松だけ、これも相模生れのお松と同郷で、お松には充分氣があるやうですが、至つて無口な上、自分の顏のみにくいことを百も承知をして居りますから