唐門からもん)” の例文
今籠町の黄檗宗崇福寺へ行って、唐門からもん前の石欄から始めて夕暮の市を俯瞰した時、その心理的効果がはっきり感じられて面白かった。
長崎の一瞥 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ふっと気が付いて眺めますと、眼の前に立っている唐門からもんを潜って、先刻さっき出た兄が悄然と歩いて来るではありませんか。
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
本社ほんしゃは大工が誰で、蒔絵まきえ円斎えんさい、拝殿、玉垣たまがき唐門からもん護摩堂ごまどう神楽殿かぐらでん神輿舎みこしや、廻廊、輪蔵りんぞう水屋みずやうまや御共所おともじょ……等、それぞれ持ち場持ち場にしたがって、人と仕事がこまかにわかれている。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
これなるは有名なる醍醐の枝垂桜しだれざくら、こちらは表寝殿、あおい、襖の絵は石田幽汀いしだゆうていの筆、次は秋草の間、狩野山楽かのうさんらくの筆、あれなる唐門からもんは勅使門でございます、扉についた菊桐の御紋章、桃山時代の建物
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)