取敢とりあへ)” の例文
ガラツ八の八五郎は、その晩取敢とりあへず親分の錢形平次のところへ行つて、その日の報告を濟ませた上、斯う相談を持ちかけるのでした。
著者は多少思考を費した上、この説に同意して、たゞちに煤煙の前半、即ち要吉が郷里きやうりに帰つて東京に出て来る迄の間を取敢とりあへず第一巻として活版にする事に決心した。
『煤煙』の序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
尋ね候處御召捕めしとりに相成候由ゆゑ大いに驚き取敢とりあへ今般こんぱん御訴へ申上奉つり候儀に御座候みぎゆゑ文右衞門質物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「すると笛辰は夕方からブラリと出掛けたんです。餘つ程後をつけようと思ひましたが、萬一さとられると藪蛇だと思つて、取敢とりあへず駕籠で此處まで馳け着けました」
取敢とりあへず五兵衞に話しけるに忽ち縁談えんだんとゝのひたれば久八の悦喜よろこび一方成ず然共されども物入を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
されば今日の變事へんじに付稻葉家に於ては大いに心配しんぱい致され取敢とりあへず日野殿の御機嫌伺きげんうかゞひとして家老からうの中をつかはされんと城代稻葉勘解由かげゆを以て京都日野方へ參入致させ種々しゆ/″\音物いんもつ山の如く贈られて今日の變事へんじ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)