卜者うらない)” の例文
方々の卜者うらないにみて貰ったら、剣難があるの、水難があるのと云われたそうで、おっかさんはなおなお苦労しているんです。
半七捕物帳:08 帯取りの池 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
二、三軒、久蔵は昔の仲間浜町の粂吉くめきちのところへ、万吉は卜者うらないへ、久三郎は明神下の浪人者井田平十郎のところへ——
その名称に法師、道士、生仏せいぶつ、僧侶、乱童の五種がある。この中にはわが国の修験しゅげん巫女みこ卜者うらないの類がことごとく含まれておる。これみな祈祷きとう、除災、予言の専業者である。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
ところがいざ探すとなると生憎あいにくなもので、平生ふだんは散歩さえすればいたるところに神易しんえきの看板がぶら下っている癖に、あの広い表通りに門戸を張っている卜者うらないはまるで見当らなかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は決して卜者うらないではなかった。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「二人を殺したのは、六十三番凶の神籤みくじを持って、明神前の卜者うらないへそのこころを解いてもらいに行った奴——」