半輪はんわ)” の例文
すた/\とはひつてると、たなながめ、せきうかゞひ、大鞄おほかばんと、空気枕くうきまくらを、手際てぎはよくつてかついで、アルコールのあをを、くつ半輪はんわまはつて、くとて——
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
釜鬼は、塀や壁を後にして、土に半輪はんわを描き、鬼が輪の中に番をしていて、みんな下駄を片っぽずつ奥の方へ並べておく。それをチンチンモガモガをしながら、輪の中へ取りにゆくのである。
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
饑饉どしの記念だから、行列が通るのに、四角な行燈あんどんも肩を円くして、地蔵前を半輪はんわによけつつ通った。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
菊細工というが、糸だか寄切よせぎれだか……ただ水引を、半輪はんわの菊結び、のしがわりの蝶の羽には、ゆかりを添えました。いや、しばらく。ごらんを促したようで心苦しい、まずしばらく。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)