まあまあ、親の授けてくれた鼻に満足しない不孝ものから罰金を徴発ちょうはつするんだから、一種の勧善懲悪かんぜんちょうあくで、道徳的な商売さと言っています
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
因果応報の存在を信じ輪廻転生りんねてんしょうを信じ勧善懲悪かんぜんちょうあくが自然の理法なりとして疑わない位ですから、まあ、一種の迷信家でしょうな、ごく頭の古い男です
山道 (新字新仮名) / 中里介山(著)
これ新幡随院濡れ仏の縁起えんぎで、此の物語も少しは勧善懲悪かんぜんちょうあくの道を助くる事もやと、かく長々とおきゝにいれました。
この影響は昔し流行はやった勧善懲悪かんぜんちょうあくという言葉と関係はありますが、けっして同じではない。ずっと高尚の意味で云うのですから誤解のないように願います。
文芸と道徳 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
亜字は支那シナ太古の官服の模様として「取臣民背悪向善、亦取合離之義去就之義」といわれているが、勧善懲悪かんぜんちょうあく合離去就ごうりきょしゅうがあまり執拗しつように象徴化され過ぎている。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
ところが舶来はくらいの芝居は情け容赦ようしゃがないもので、日本の勧善懲悪かんぜんちょうあくみたいにピエロも末はめでたしなどということは間違っても有り得ず、ヤッツケ放題にヤッツケられ
土の中からの話 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
これを世の人に読んで貰ったなら、幾分でも勧善懲悪かんぜんちょうあくのいましめにもなることであるからだ。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ここにおいて一国衆人の名代みょうだいなる者を設け、一般の便不便をはかって政律を立て、勧善懲悪かんぜんちょうあくの法、はじめて世に行わる。この名代を名づけて政府という。その首長を国君といい、附属の人を官吏という。
中津留別の書 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
此の一席で満尾まんびになりますゆえ、くだ/\しい所は省きまして、善人が栄え、悪人がほろび、可愛かわいゝ同志が夫婦になり、失いました宝が出るという勧善懲悪かんぜんちょうあく脚色しくみは芝居でも草双紙くさぞうしでも同じ事で