剃立そりたて)” の例文
「またやんちゃんが始まるな、」と哲学者は両手でおとがいを支えて、柔和な顔を仰向あおむけながら、若吉をみつめて剃立そりたてひげあとで廻す。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だが剃立そりたての顔が学者に似合はない事もあるやうに、どうかすると本に食中しよくあたりをする画家ゑかきもある事を忘れてはならない。
何時いつまでつてゐても音沙汰おとさたがないので、宗助そうすけ不思議ふしぎおもひをして、また庫裡こりもんはう引返ひきかへした。すると石段いしだんしたから剃立そりたてあたまあをひからしたばうさんがあがつてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いつまで立っていても音沙汰おとさたがないので、宗助は不思議な思いをして、また庫裡を出て門の方へ引返した。すると石段の下から剃立そりたての頭を青く光らした坊さんが上って来た。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)