分明わかり)” の例文
庸三は腹んいになって煙草たばこをふかしていたが、彼女の計算の不正確と、清川の認識不足とのれ違いも分明わかりすぎる感じだった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「だから縁といふは奇態なものです。貴所あなた最早もう御安心なさい、すつかり分明わかりました。」と我身のことの如く喜んで座に着いた。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
つく探索たづねしかど更に樣子のしれざりしに今六右衞門の物語りにて久八こそは彼の時にすてたる我が子に相違さうゐなしと心の中に分明わかりゆゑしきりに不便ふびん彌増いやまして只管ひたすらいのち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
水のあわとなし其上此度の大罪私しに於ても何故なにゆゑに右樣所業しよげふ致し候更々さら/\分明わかり申さず候と申立る依て一同へも段々だん/\手續てつゞき尋問たづねに相成翌日又々久八六右衞門兩人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何方なりやとたづねるにほゝよりくちまで一ヶ所二のうで四寸ばかり突疵つききず之あり兩處りやうしよともにぬひ候と申ければ夫にて分明わかりたりとて其段そのだんたてしかば大岡殿どの暫時ざんじかんがへられ非人小屋ひにんごや又は大寺のえんの下其ほか常々つね/″\人のすま明堂あきだうなどに心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)