出藍しゅつらん)” の例文
「そう言われると、ちっとばかり恥かしいのさ、徳本は、拙者の先輩だが、道三の三喜におけるが如き出藍しゅつらんぶりがねえから、お恥かしいよ」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
下総しもうさ飯篠いいざさ長威斎に天真正伝神道流を学び、出藍しゅつらんほまれをほしいままにしたのは、まだ弱冠の頃であった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これは出藍しゅつらんほまれある者が出来たので、即ち教育家その人よりも立派な者が作られたことの寓説である。
教育の目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
しかしイエスはいわゆる出藍しゅつらんの誉れで、洗礼の霊的意味をヨハネ以上に明らかにされた。すなわちヨハネは水をもって洗礼したが、イエスは聖霊で洗礼を施されました。
初めは墨色の研究のつもりだったが、だんだんこうじてきて、とうとう一昨年は、墨絵の展覧会までやった。私の墨絵の高弟で、出藍しゅつらんの誉れ高い、岩波の小林勇君との二人展である。
九谷の皿 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
二代目津藤として出藍しゅつらんほまれをいかがわしい境に馳せた香以散人はこの子之助である。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
出藍しゅつらんの誉を後世に残したベンサムは、実にこの筆記せざる聴講生その人であった。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
出藍しゅつらんの誉って奴だね。この頃じゃ君の方が余っ程信用があるようだぜ」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
歌道は飛鳥井家の門人であって出藍しゅつらんほまれ高かったから、歌集の書写等を下命になったこともしばしばで、単に勅命のみならず、宮家、武家等からも依頼があった。歌集でないものにも筆を染めた。
翁の歿後、師を喪った初心者で斎田氏の門下に馳せ参じた者も些少ではなかったが、斎田氏の八釜しさが出藍しゅつらんほまれがあったものと見えて、しまいには佐藤文次郎氏一人だけ居残るという惨況であった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「聞きません——お弟子がお弟子だから、さだめてすばらしい出藍しゅつらんぶりと存じます、どうか、この鈍骨の先達せんだつに、その研究の結果をここで教えて下さい」
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
嫡男ちゃくなん新三郎水没し、次男弥蔵出藍しゅつらんほまれあり、江州佐和山石田三成に仕え、乱後身を避け高野山に登り、後吉野のそばに住す。清洲少将忠吉公、その名を聞いてこれを召す。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
千葉周作の次男栄次郎を小天狗と称して、出藍しゅつらんの誉れがある。これと斎藤の次男歓之助とを取組ましたら、絶好の見物みものだろうとの評判は、玄人筋くろうとすじを賑わしていたが、それさえ事実には現われなかった。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)