出来栄できば)” の例文
これは米友としては出来過ぎですけれども、金助は血迷っていて、この米友の出来栄できばえを買ってやる余裕がありません。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「ジュリアはたしかに百年に一人出るか出ないかという大天才だ。見給え、どうだい、あの熱情ねつじょうとうるおいとは……。今日はことに素晴らしい出来栄できばえだ」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
夫婦が互の出来栄できばえをめ合ったりして、先ずはその夜の遊興もみやびやかに終りを告げてから、程なく二人が臥戸ふしどへ引き取ったのはの刻を過ぎていた。
どこの家も長閑のどか団欒だんらんの晩景で、晩酌に坐った親父おやじが将軍の面をかむってみて家族の者を笑わせたり、一つの面を皆なで順々に手にとりあげて出来栄できばえを批評したり
鬼涙村 (新字新仮名) / 牧野信一(著)
以来二十番台の牽引力けんいんりょくが強くなって、大抵十八九番に重心じゅうしんたもった。これぐらいの出来栄できばえなら人から恨まれる心配はない。もっとクラスは常に一致和合して無事平穏だった。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
特に初期の頃の仕事を見ると世にまれ出来栄できばえであるといわねばなりません。その模様において色合いにおいて、未だどの国も産まなかった独自の美しさを開きました。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
自信さえあれば、万事はそれでうまく行く。文壇も社会も、みんな自信だけの問題だと、小生痛感している。その自信を持たしてくれるのは、自分の仕事の出来栄できばえである。循環する理論である。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
だが、かんじんの中味の炭の出来栄できばえが、どういうものかそれは二三日たって見ないとわからない。