凹地おうち)” の例文
かたい古生層の岩角をつき破って湧き立つ奔流となり、イシカリの野に噴きだした。そこから南に下って一帯の凹地おうちを回転しながら流れて行った。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
澗間たにま凹地おうちに引出された女どもの疳高かんだか号泣ごうきゅうがしばらくつづいた後、突然それが夜の沈黙にまれたようにフッと消えていくのを、軍幕の中の将士一同は粛然しゅくぜんたる思いで聞いた。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
四坪の凹地おうちに浅い湧泉ゆうせんたたえ、その底から青みがかった灰色の火山岩の分解物からなる泥土でいどを一分間に数回ずつ噴出し、そこここに所謂いわゆる泥火山を円錐形に作り上げ、それが流れて裾野となる有様ありさま
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)