冷遇ふり)” の例文
冷遇ふりながら産を破らせ家をも失わしめたかと思うと、吉里は空恐ろしくなッて、全身みうちの血が冷え渡ッたようで、しかも動悸どうきのみ高くしている。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
冷遇ふッて冷遇て冷遇ふり抜いている客がすぐ前のうちあがッても、他の花魁に見立て替えをされても、冷遇ふッていれば結局けッく喜ぶべきであるのに、外聞の意地ばかりでなく、真心しんしん修羅しゅらもやすのは遊女の常情つねである。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)