新字:入道相国
おご平家へいけを盛りの櫻にくらべてか、散りての後の哀れは思はず、入道相國にふだうしやうこくが花見の宴とて、六十餘州の春を一夕いつせきうてなに集めてみやこ西八條の邸宅。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
入道相國にふだうしやうこく非道ひだう擧動ふるまひ御恨おんうらみを含みて時のみだれを願はせ給ふ法住寺殿ほふぢゆうじでんゐんと、三代の無念を呑みてひたすら時運の熟すを待てる源氏の殘黨のみ、内府ないふ遠逝ゑんせいを喜べりとぞ聞えし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)