入交いりかは)” の例文
奧の六疊間に三分心の洋燈ランプは暗かつたが、入交いりかはり立交りるす人の數は少くなく、潮の樣な蟲の音も聞えぬ程、賑かな話聲が、十一時過ぐるまでも戸外に洩れた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
わが船が着くや否や集まつて来た石炭ぶねから幾百の黒奴くろんぼが歯まで黒く成つてあらはれ、曇つた空のもとに列を作つて入交いりかはり石炭を積み初めた時は鬼の世界へ来たかと恐ろしく感ぜられた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)