優雅みやび)” の例文
優雅みやびやかな事ばかりを、この世の常と考えている人たちの中へ、ふと、九条の女院へ雑仕女ぞうしめとして拾われてから立ち交じって、その上にも
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年齢としごろまでも見違えるくらい成熟された、優雅みやびやかな若夫人の姿に見えて来るのです。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「瀬戸内の、ともノ津や、むろノ港などの女は、これよりは、もっと、品が落ちる。……やはり、江口の君たちには、どこかまだ優雅みやびなところがある——」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その筋肉のあらあらした隆起りゅうきや青髯の痕にくらべて、かたわらから扇で風を送っている嫋女たおやめは余りに優雅みやびていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで甲冑かっちゅうをぬぎ、湯漬を喰べ終ると、これはまた優雅みやびな衣冠にすっかり着かえて出て来た。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かしず上達部かんだちべがあり、お末の小女房だの六位ノ蔵人くろうどたちもいることなので、仮の宮苑とはいいながら、その優雅みやびも麗わしさも、あわれ嵐に打たれたものでしかなく、あるまじき
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼らは本来の優雅みやびを捨て、立ち歩きから烏帽子えぼしの振りまで武家風をまね、しいて馴れぬ坂東ばんどう言葉をつかい、いわば「公卿ニモアラズ、武家ニモ似ヌ」妙なものになってしまった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「戦場ゆえ、平馬めは、貸すのはイヤだという。おいっ、たれかほかに、於通に馬をかして、みずからは口輪をとって、犬山まで歩いてやるような、優雅みやびものはおらんか。たれでもよいぞ」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
菖蒲あやめの寮に優雅みやび起居おきふしをしていて、風にも堪えぬほどなよやかに見える御方、その女に、どうしてこんな秘練の妙手があるのだろうか? ——しかも御方は、重左の杖を引かせもせずに押さえつけて
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「二十三、四を出てはおられますまい。いと優雅みやびな」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これは、優雅みやびな」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)