俊寛僧都しゅんかんそうず)” の例文
新大納言の君の御発意ごほついで、この月十三日ごろ鹿ししたに俊寛僧都しゅんかんそうずいおりに、同気のともがらがうちつどうて、何かと、お談じ申したいとのことであるが、貴公にも
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
島がくれゆく京洛みやこの船を呼び返している俊寛僧都しゅんかんそうずの悲しみが、生々しい実感で今松の胸へと伝わってきた。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
今から四十年前に小説復刻の元祖たる南伝馬町てんまちょう稗史はいし出版社に続いて馬琴の『俊寛僧都しゅんかんそうず島物語』や風来ふうらいの『六々部集』を覆刻したので読書界に知られた印刷所であった。
鹿ししたに俊寛僧都しゅんかんそうずいおり衆会しゅうえのお催しあることと存じまするが、院の御深みふかくにわしてすら、道聴途説どうちょうとせつ、とかく、世上のうるさい折から、さような集まりの席へ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この峰の中腹には、その当時、住蓮山じゅうれんざん安楽寺といって——以前は法勝寺ほっしょうじともいった一院があって、そこを山荘として住んでいたのが、例の、俊寛僧都しゅんかんそうずであったのだ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
康頼は、鹿ししたに事件の露顕した後、俊寛僧都しゅんかんそうずと一しょに、薩摩の孤島へ流されたが、都の老母をわすれかねて、千本の卒都婆を削り、それに母恋しの和歌を書いては、日課のように、潮へ流していた。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)