俄盲にわかめくら)” の例文
駒込片町こまごめかたまち安泊やすどまりに居りまして、切通きりどおしの坂を下りてよう/\此処まで来るうちに二度転んだと云う俄盲にわかめくらでございます。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
熱い膏薬を両眼りょうがんに貼り付けられて、俄盲にわかめくらになつた上に、相手はもかくも侍ふたりである。善吉はただおめ/\と身をすくませてゐると、彼等は帳場の金箱かねばこを引つかゝへてばた/\と逃げ出した。
赤膏薬 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
俄盲にわかめくらだと云って入り込んだのも只其の手紙せえ持ってけばいんで、是を落すとわたくしが殺されたかも知れねえんで
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
樽屋の久八も根が正直な人ゆえきもに銘じて感心をいたし、両人で長話をして居ります処へ、年頃四十八九にもなろうかと思う女乞食が、俄盲にわかめくらと見えて感が悪く、細竹の杖を突き
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此の按摩ア……われは先月からおらうちへ来て、俄盲にわかめくらで感が悪くって療治が出来ねえと云うから、可愛相だと思って己ア家へ置いてやった宗桂だ、よく見りゃア虚盲そらめくらで眼が明いてるだ、此の狸按摩うぬ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)