何糞なにくそ)” の例文
「あなた、いけませんやないか」などいわれたら、何糞なにくそ、もっとしてやれという気になるかも知れないと思う。妙に反抗心をそそる響をもった言葉である。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
谷中へ入つた時、あんまりしやくにさはるから到頭武者ぶり付きましたよ。此儘續けた日にや、夜の明ける前に參つて仕舞ふ。何糞なにくそで、いきなり御用ツと來ましたね。
ちげえねえ、俺ァ辰さんよか年の十も下だンべが、何糞なにくそッ若けもんに負けるもンかってやり出しても、第一いきがつゞかんからナ」と岩畳がんじょうづくりの与右衛門さんが相槌あいづちをうつ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
何糞なにくそ。いくら貴様が魔法使いでも、おれはちっとも怖かないぞ。出てゆかねばこうだぞ」
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)
それを聞くと、僕は「何糞なにくそ」とけない気が出て、いきなりその帽子に飛びつこうとしましたら、帽子も僕も一緒になって学校の正門の鉄の扉をなんの苦もなくつき抜けていました。
僕の帽子のお話 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
谷中やなかへ入った時、あんまりしゃくにさわるからとうとう武者ぶりつきましたよ。このまま続けた日にゃ、夜の明ける前に参ってしまう。何糞なにくそで、いきなり御用ッと来ましたね。
……何糞なにくそ……と冷笑しながら……。
けむりを吐かぬ煙突 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何糞なにくそッ」
何糞なにくそツ」