企図きと)” の例文
旧字:企圖
「そうだ。そうしたまえ。それが、うまくいくようなら、あなたの企図きとしている英国艦隊一挙撃滅戦えいこくかんたいいっきょげきめつせんも、うまくいくだろう」
彼は尋常復讐ふくしゆうの小術を成して、宮に富山に鴫沢に人身的攻撃を加へて快を取らんとにはあらず、今すこしく事の大きく男らしくあらんをば企図きとせるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「ぜひもない。京都回復の企図きとはしばらくこう。要はまず、東国奥州みちのくの固めに主力をそそぐことだ。しかる後に、尊氏の根拠をその足もとからくつがえそう」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
止むを得ない場合以外は、ただ忠実に記録を辿たどって、はじめに大体の事件をめぐる内外の情況に諸君を完全に親しましておきたいと企図きとしているのである。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
ひとり綿密に練っていたその腹中の企図きとも、坂本にいたあいだはまだ、実行にうつすべきか、実行すべきでないか、迷いは半々であったが、今暁、下加茂の河原で
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう一つは僕の本当に企図きとしているところの科学小説としては、まだまだ物足らぬ感がするから、本当の科学小説はいよいよ今後に書くぞという作者の意気ごみを示したいことと
『地球盗難』の作者の言葉 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その作戦企図きとは、易々いいとは進んでいなかった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)