交際まじはり)” の例文
そして、その無邪氣むじやきさや、陽氣なおしやべりや、氣に入らうとする努力で、お互ひの交際まじはりに滿足する程度の愛着を私の心に起さした。
奈何に二人の心と心とがハタと顔を合せて、互ひに同じ運命を憐むといふ其深い交際まじはりに入るであらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
道ならぬ交際まじはりの潜めるが如き心地して、胸は訳もなく波立ち、心しきりに焦立つ折から、遥か彼方あなたに、ホテルやサルーンの燈火、更けたるを心得顔に赤々と輝くを望み見れば
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
僅かに九歳こゝのつの昔、まだ夢のやうなお伽話とぎばなしの時代——他のことは多く記憶にも残らない程であるが、彼の無垢むく情緒こゝろもちばかりは忘れずに居る。もつとも、幼い二人の交際まじはりは長く続かなかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)