五抱いつかかえ)” の例文
与吉は天日をおおう、葉の茂った五抱いつかかえもあろうという幹に注連縄しめなわを張った樟の大樹たいじゅの根に、あたかも山のと思うところに、しッきりなく降りかかるみどりの葉の中に、落ちて落ち重なる葉の上に
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
四抱よかかえ五抱いつかかえもある大樹たいじゅの幾本となく提灯ちょうちんの火にうつる鼻先で、ぴたりと留まった。
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
路はここで二条ふたすじになって、一条いちじょうはこれからすぐに坂になってのぼりも急なり、草も両方から生茂おいしげったのが、路傍みちばたのそのかどの処にある、それこそ四抱よかかえ、そうさな、五抱いつかかえもあろうという一本のひのき
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)