主鷹司たかづかさ)” の例文
餌取とは言うまでもなく、主鷹司たかづかさに属して鷹や犬に喰わせる餌を取るを職とした雑戸で、なお徳川時代の鷹匠たかじょうに属する餌差えさしに相当するものである。
昔は高貴の御鷹狩を催される為に主鷹司たかづかさという役所があり、餌取はその主鷹司に付いている雑戸の類であった。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
餌差えざしは無論高尚な職業ではありませんが、そう穢多の様にも賤まれません。主鷹司たかづかさの餌取は昔は随分威張って、我儘をして、市人いちびとを困らせた事がありました。
餌取はもと主鷹司たかづかさ被管の雑戸ざっこで、後世の餌差えさしと同一のものであった。彼らがもと必ずしも賤民でなかったことは、別項「餌取考」に於いて述べておいた通りである。
エタ源流考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
造兵司ぞうへいし雑工戸ざっこうこ主鷹司たかづかさ鷹戸ようこなどとかいう様な、一定世襲の職業を持ったものを申すのであります。
しかるに主鷹司たかづかさは、殺生を忌む仏教信仰の思想から、しばしば廃せられたり、また復旧したりしましたが、結局廃滅の運命に終って、餌取の仕事はなくなりました。
少くも主鷹司たかづかさの餌取がエタを構成するに至った衆流中の一つたることを認めるものである以上、エトリの語がつづまってエタとなったという事についても、しいて反対するものではない。
「エタ」名義考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)