両箇ふたり)” の例文
旧字:兩箇
彼が注進の模様は、見るべき待人を伴ひ帰れるならんをと、ぐに起ちて表階子おもてはしごあたりに行く時、既におそ両箇ふたりの人影はてすりの上にあらはれたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
こう言って、夜道を緩々ゆるゆると東の方へ立去る両箇ふたりの旅人があるのを以て見れば、外は、やっぱり誂向あつらえむきのいい月夜に相違ない。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
渠は愚弄ぐろうの態度を示して、両箇ふたりのかたわらに立ちまりぬ。白糸はわずかに顧眄みかえりて、つるがごとく言い放てり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
必死と争へる両箇ふたりが手中のやいばは、あるひは高く、或は低く、右に左に閃々せんせんとして、あたかも一鉤いつこうの新月白く風の柳をふに似たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それから後は、ここでくんずほぐれつ両箇ふたりの乱取り組打ちがはじまってしまいました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
このとき両箇ふたりまなこは期せずして合えり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
両箇ふたりは一様にみむかへて、待つとしもなく動かずゐたりければ、その前に到れる角燈の光は隈無くまなく彼等をさらしぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
両箇ふたりの女は渠らとともに行きぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)