不見識ふけんしき)” の例文
それゆゑ二階にかいあるひ三階さんがい居合ゐあはせたひとが、階下かいかとほることの危險きけんおかしてまで屋外おくがいさうとする不見識ふけんしき行動こうどう排斥はいせきすべきである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「良い女はさう言つたものですね。男に白い齒を見せるのは、大した不見識ふけんしきなんですね」
お姫様もきっとそうだったと思うわ。それを得意そうにののしったりするのは作者の不見識ふけんしきを示すものじゃないの? あたしはその短篇を読んだ時ほど、芥川龍之介を軽蔑けいべつしたことはないわ。……
文放古 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
一方からいうと気の毒なほど不見識ふけんしきな集合体だと評しなければならない。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この論法からいうと、芸術家が昔の芸術を後世に伝えるために生きているというのも、不見識ふけんしきではあるが、やっぱり必要でしょう。ことにきゅう芝居や御能おのうなんかはいい例です。絵画にもそれがある。
無題 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)