不昧ふまい)” の例文
……雲州様なら松江侯、すなわち松平出雲守いずものかみ様、出雲守様ときたひには、不昧ふまい様以来の風流のお家、その奥庭の結構は名高いものでございます。
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
むかし松平不昧ふまい公が、京都にのぼつた時、ある日の事、茶人千宗左せんのそうさを訪れようとして、前もつてそのよしを通じておいた。
従ってこれに携わった人というものは、豊臣秀吉にしても、千利休でも、遠州でも、不昧ふまい侯にしても、皆茶道の先生です。教師だといっておるのです。
書道と茶道 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
かくして安永の頃ついに茶碗蒐集に焦慮した雲州不昧ふまい公の手に入った。当時支払われた金子きんす五百五十両である。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
無門いわク、不落因果、ナンノ為ニ野狐ニツ。不昧ふまい因果、ナンノ為ニ野狐ヲ脱スル。モシ、者裏ニ向ッテ、一隻眼ヲ著得セバ、スナワチ、前百丈(野狐ノコト)風流五百生ヲカチ得タルヲ知リ得ン。
野狐 (新字新仮名) / 田中英光(著)
「霊知不昧ふまいの真心は、人生まれてはじめて生ずるにあらず、人死んでついに滅するにあらず。いわゆる不生不滅にして、すなわちこれ万法の根本なり。すでに魂魄こんぱく滅せず、あにただ三世のみならんや。千世、万世、無量世なるものなり」
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
謂わば規則を超越している能書であって、不昧ふまい公なども筆こそ弱いがそういう点があって、身上をなしている。しかし、不昧公には遠州や宗和ほどの品格と底力が具わってはいない。
現代能書批評 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
その時分には不昧ふまい侯なんかがおりましたが、世間一般には茶道が衰えておる時でありますから、多くはやはり中国趣味に動いて、どこまでも中国を主として行きましたが、結果においては木米
書道と茶道 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)