上釣うわず)” の例文
自殺を担ぎ込む「墓のサロン」のドアが口を結んでいた。すると私の耳にちょっと静寂が襲って来た。そのなかで一つ上釣うわずった女の声が走った。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
伝六郎の声が次第に上釣うわずって涙声になって来た。満場ただ伝六郎の一人舞台になってシインとしかけているところへ、縁側の障子の西日の前に一人の小女こおんなの影法師がチョコチョコと出て来てひざまずいた。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お初はいくらか上釣うわずったような調子で迎える。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)