上澄うわず)” の例文
心の上澄うわずみは妙におどおどとあわてている割合に、心の底は不思議に気味悪く落ちついていた。それは君自身にすら物すごいほどだった。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
上澄うわずみどころか、人生という盃から、柚子はおりよどみも、みな飲みほし、幸福な感情に包まれて死んだことがわかり、心に秘密を持っている娘というものは、どれほど忍耐強く、また
春雪 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ほんの上澄うわずみを飲んだだけで、つまらなくあの世へ行ってしまった。
春雪 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)