一片ひとかけ)” の例文
当るのには訳があって私は谷中の墓地は隅々まで精通していたから、文部大臣の森有礼を暗殺した西野文太郎の墓石を砕いてその一片ひとかけを懐にして行くのである。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
すると小窓の戸があいて、老婆(さういふ婆さんだけが生真面目な爺さんと一緒に我が家に残つてゐたのだ)が、痩せた手に腸詰だのピロオグの一片ひとかけだのを掴んで差し出した。
苦力頭は、鼻もヒッカケない面付つらつきで俺を冷たく無視した。苦力達がさんざ朝飯を食い始めたが、誰も俺にマントウの一片ひとかけらも突き出そうとしなかった。俺は喰えというまで手を出すまいと覚悟した。
苦力頭の表情 (新字新仮名) / 里村欣三(著)
あいちやんは當惑たうわくして、らず/\衣嚢ポケツト片手かたてれ、乾菓子ひぐわしはこ取出とりだし、(さいは鹹水しほみづ其中そのなか浸込しみこんでませんでした)褒美はうびとして周圍しうゐのものにのこらずれをわたしてやりました。丁度ちやうど一個ひとつ一片ひとかけづゝ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
の白い一片ひとかけを紙に受けて、「さあ、これでめて上げるよ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一片ひとかけ土塊つちくれもケイコバードやジャムだよ。
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)