一巡ひとまわり)” の例文
建物の蔭に隠れたのかと、窓を乗り越し、グルッと一巡ひとまわり歩いて見たけれど、どこにも人の姿はなく、又隠れ場所とても見当らぬ。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
博士は驚いてね起きた。そして寝台に坐ったまま、室の中を一巡ひとまわり見廻わした。蒼白い沙漠の満月が、窓から室の中へ射し込んでいるので、室の中は朝のように薄明い。
木乃伊の耳飾 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一巡ひとまわりして来て、蹂口に据えてある、大きい鞍馬石くらまいしの上に立ち留まって、純一が「ひるから越して来てもいのですか」と云うと、蹲のそばこけにまじっている、小さい草をつまんで抜いていた婆あさんが
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
一巡ひとまわり中を見せて貰いましたのと時候の変り目に一二度入ったばかりで、たとえ、そこへ門野がとじ籠っていましても、まさか
人でなしの恋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一巡ひとまわり「散歩」を済ませて、自分の部屋へ帰る為に、梁から梁を伝っていましたが、彼の部屋とは、庭を隔てて、丁度向い側になっている棟の、一方の隅の天井に、ふと、これまで気のつかなかった
屋根裏の散歩者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)