“ほおべに”の漢字の書き方と例文
語句割合
頬紅100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
帳場に近い衝立の陰には、厚化粧をして頬紅ほおべにを塗った怪しげな女が、愛想笑いをしながら折々泉原の方を振返っていた。女は長い巻煙草シガーを細い指先に挟んで、軽い煙をあげている。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
頬紅ほおべにを眼の下の方へひろげさせたり、いろいろにして見たのだけれども、矢張どうしてもうまい工合に胡麻化ごまかし切れないので、幸子はこの座敷へ這入った時からヒヤヒヤしていたのであった。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
女はまだ見た所、二十はたちを越えてもいないらしい。それが壁へ貼った鏡を後に、絶えず鉛筆を動かしながら、せわしそうにビルを書いている。額のき毛、かすかな頬紅ほおべに、それから地味な青磁色せいじいろの半襟。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)