“こわば”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
硬張65.7%
強張16.4%
剛張4.5%
3.0%
固張3.0%
硬直3.0%
1.5%
強直1.5%
1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
始めからあたまの中に硬張こわばつた道徳を据ゑ付けて、其道徳から逆に社会的事実を発展させ様とする程、本末を誤つた話はないと信じてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とまでは言うたが、あとはくちびる強張こわばって、例えば夢の中でもだえ苦しむ人のように、私はただ助役の顔をジッと見つめた。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
彼女の様子は剛張こわばっていた。そのくせ心はまとまりなく動いていた。先刻さっき出かけようとして着換えた着物まで、平生ふだんと違ったよそゆきの気持を余分に添える媒介なかだちとなった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お節があやしんで体にさわった時には氷より冷たくこわばってしまって黒い眼鏡の下には大きな目が太陽を真正面に見て居た。
栄蔵の死 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
忽ちハッと全身を固張こわばらせる拍子に、一尺ばかり飛上った、そのままあとも見ずに待合室を飛び出して行こうとする背後うしろから、何かしら巨大な、フワフワするものが抱き付いた。
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
三越の店員にたしかに渡したと思っていた五千八百円の指輪だ。彼女は頭の先から足の先まで、ジーンと電気でも伝ったように感じ、体が硬直こわばって身動きも出来ない。
梟の眼 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
咽喉から手が出る程欲しい金を——断らなくてはならなかった、彼等は頬を不自然にこわばらせ、お金からそっと目を外らせた。
鋳物工場 (新字新仮名) / 戸田豊子(著)
重傷者は、もう舌が強直こわばって来た。何か云おうとするけれど声が出ないのだ。アア、折角ここまでこぎつけたのに、一番肝腎の部分を聞くことが出来ないのか。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
(何存ぜぬことがあるものか、これはな、お雪、お前の体に使うのだ、これでその病気をなおしてやる。)ときっにらんで言われましたから、私はもう舌がこわばってしまいましたのでございます。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)