せみ
「あたしは酔ツぱらひには慣れてゐるから夜がどんなに遅くならうと、どんなにあなたが騒がうと今更何とも思はないが——」 周子は、そんな前置きをした後に夫の滝野に詰つた。 田舎で暮してゐた時とは、境遇も違ふし場所柄も違ふ、今ではこのセヽこましい東 …
題名が同じ作品
(新字旧仮名)中原中也 (著)