糶市せりいち)” の例文
或日平秩東作の随筆水の行衛を持つて来たついでに、仲間の糶市せりいちに偶然わたくしの若い時分の手紙が出たからと言つて、二通の封書を見せてくれた。
来訪者 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
誰かが火が付くように拍手すると、部屋の中の人間の半分ほどは、それにれて、パチパチと手を叩きます、何んと言う不思議な糶市せりいちだったでしょう。
私はつい先達青森縣木造きづくりの有名な馬の糶市せりいちを見て、その盛んな景況に驚き、馬市の立つ期間のお祭騷ぎのやうな町の賑はひを物珍しく感じて來たものだが
東旭川村にて (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
実に遊び人が多いのです。佐吉さんの家の裏に、時々糶市せりいちが立ちますが、私もいちど見に行って、つい目をそむけてしまいました。何でも彼でも売っちゃうのです。
老ハイデルベルヒ (新字新仮名) / 太宰治(著)
いま糶市せりいちの喧騷は
佐藤春夫詩集 (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)