効験こうけん)” の例文
旧字:效驗
私は日進月歩する近世医学の効験こうけんを信じないのでは決してない。電気治療もラヂウム鉱泉の力をもあながち信用しないのではない。
大宮に居た間が十日ばかりで試験の準備は少しも出来なかつたが頭の保養には非常に効験こうけんがあつた。しかしこの時の試験もごまかして済んだ。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
せきが出る、食欲しょくよくが進まない、熱が高まると言う始末しまつである、しのは力の及ぶ限り、医者にも見せたり、買い薬もしたり、いろいろ養生ようじょうに手を尽した。しかし少しも効験こうけんは見えない。
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
だがホーベスの負傷ふしょうは、急所の痛手いたでなので、この妙薬みょうやく効験こうけんはなかった。かれは自分でとうてい助からないと知り、眼をかすかに開いて、ケートの顔をしみじみとながめていった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「僕はこの間の晩こゝから大滝の方を向いて拝んだんです。早速効験こうけんがありました」
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
蘇鉄そてつの実をせんじて飲ませたり、ご祈祷を枕もとであげてもらったり、不動岡ふどうおかの不動様の御符ごふをいただかせたり、いやしくも効験こうけんがあると人の教えてくれたものは、どんなことでもしてみたが
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
すると、効験こうけんあらたかでしたよ。
淫祠は大抵その縁起えんぎとまたはその効験こうけんのあまりに荒唐無稽こうとうむけいな事から、何となく滑稽の趣を伴わすものである。