黙然もくぜん)” の例文
旧字:默然
ト云いながらお勢は起上たちあがッて、二階を降りてしまッた。跡には両人ふたりの者が、しばらく手持無沙汰ぶさたと云う気味で黙然もくぜんとしていたが、やがて文三は厭に落着いた声で
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
宙は取次ぎの男が引込ひっこんで往った後で、伯父に向って云う謝罪の言葉を考えながら黙然もくぜんと立っていた。
倩娘 (新字新仮名) / 陳玄祐(著)
その三人からだいぶ離れて、休憩所の奥まつた席には、梅代をはじめ遺族が黙然もくぜんと坐つてゐる。長男の透が中学の五年生で、あとは長女のサキ子、次男の慎、次女のユキ子、三女のシゲ子。
地獄 (新字旧仮名) / 神西清(著)
黙然もくぜんたりや、おもかげの
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
文三は手紙を下にいて、黙然もくぜんとして腕をんだ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)